背高の職人が指さした茂みが揺れる。
驚いた小柄な職人は悲鳴をあげて、そこから大きく離れた。
その慌て様に、背高の職人は吹き出す。
「だっはは!バーカ、これだよ、これ」
そう言って見せたのは、彼の親指ほどの大きさの石。
あれを茂みに投げて揺らしたのだ。
小柄な職人は木の幹に背を預け、ずるずると座りこんだ。
「……か、勘弁してくれよぉ〜。
ただでさえ俺夜の森ってところでムリなのに」
「言い方おかしくなってんぞ。
悪い悪い、お前の驚きっぷり見てるとつい」
「なに遊んでんだ。
そんな暇あんなら、さっさとコルルを見つけろ」
長髪の職人に苛立たしげに言われ、2人は首をすくめてまた歩き出した。
ランプの灯火を喰らおうと迫る闇の中に、彼らの土を踏みしめる音だけが立つ。
ふわりと背高の職人があくびをした。
「ギベオンも連れてくれば良かったなー。
あいつならコルルがどの辺りにいて、どう仕掛ければいいかとか分かってそうだ」
「絶対に高くつくぞ、あいつ金にはがめついからな。
それに、俺たちだけが知るポイントだって、何ヶ所かある方がいいだろ?」
「そうだな。でも、こんだけ探しても見つからないとなー」
「うーん……もう少し奥へ行ってみようか」
長髪の職人が暗闇へと伸びる獣道を見据える。
後ろから、小柄な職人が震える声で言った。


