「光の度合いが強いのは雄の方。
そんで、毛色と発光色の組み合わせで価値が異なってくるんだ。
俺は専門家じゃねえから差はよく分からないけど。
毛色は価値の高い順に黒・茶・灰・白で、発光色は青・黄・緑・赤。
発光色はそのまんま目の色になってるんだ」
「なるほど。それなら、毛色と瞳の色を見れば、どのコルルがデシンなのかが分かるんですね。
ケセラ、デシンの毛色と目の色は?」
「あ、茶色と青色だよ」
答えた途端、セドナが飲みかけの水を盛大に噴き出した。
苦しそうに噎せ、胸板を何度も叩く。
ケセラがそれに驚いて目を白黒させた。
「ど、どうしたの?」
「げほっ、おっ、雄で茶の毛色って!
おいケセラ、デシンの性別間違えてんじゃねえの!?」
「ほ、本当だよ。名前をつけるときにちゃんと確認したもん。
デシンは間違いなく雄のコルルだよ」
セドナはクレープをくるんでいた紙を握りしめると、ベンチの手すりの部分に腰掛けた。
まじかよ……と言いながら、握りこんだ拳を額に当てる。
「毛色の茶色いコルルが、どうかしたんです?」
「伴性遺伝とかめんどくせー話ははしょるけど、基本的に茶色のコルルの性別は雌なんだ。
茶の雄は1万匹に1匹程度、そのうえいちばん希少価値の高い青色のコルルなんて、100万匹のうちにいるかいないかのレベルだぞ」
「えっ、そ、そうだったんだ……」
「お前知らずに飼ってたのかよ」
がっくりセドナが肩を落とす。
ニコは残りのクレープを咀嚼した。


