クレープを受け取ったケセラの表情がほころぶ。
泣いたせいでまだ目は腫れているが、気分転換になったようだ。
ティファニーとケセラはベンチに座って、ニコとセドナは立ったままクレープを食べる。
「そういえば、ケセラ」
「なに?」
頬についたカラースプレーをつまんでセドナが尋ねた。
ケセラが鼻先にクリームをつけて見上げる。
「なんであの通りで罠にかかってたんだよ?
お前の家からけっこう離れてるよな、あそこは」
「あ、うん……」
ケセラがうつむく。
せっかく明るく戻っていた表情が、また暗くなった。
ティファニーが背中をなでてやる。
「よかったら私たちに話してくれないかな?」
ケセラが困ったようにきょろきょろ3人の顔を見る。
視線が合うと、ニコは一つ頷いてみせた。
それで強張った表情をわずかに緩め、ケセラは小声で話し出した。


