「あー、乱暴者のセドナが来た」
「誰が乱暴者だ、誰が!
またてめえかよ!あっちでお前の罠に引っかかったチビどもが泣いてたぞ!」
「ボクの罠に引っかかるお間抜けが悪いんだよー。
将来ルースの職人になるんだったら、あれくらいの罠に気付けないと」
「……っ、てめえ!」
セドナがギベオンを捕まえようととびかかる。
しかし素早く身をかわされ、空振りに終わった。
ギベオンは細い通路に駆け込み、二つの壁を伝って上へと進む。
屋根に飛び移ると、4人に向かって舌を出した。
「やーい、悔しかったらここまでおーいでー」
「あっ、待てコラ、逃げんな!」
「あはははは!」
笑いながらギベオンは屋根の上を器用に走り去った。
セドナは追いかけようとしたが、諦めてニコたちの方へ戻る。
「チッ、逃げ足の速いやつだ。
うん?なんだケセラ、またギベオンに泣かされたのか?」
「ひいっ!」
セドナと視線が交わったケセラは、慌ててティファニーの背に隠れる。
ここにギベオンが現れたときと同じ反応だ。
ということは……
「セドナ、まさかこの子をいじめたことあるの?」
「見損ないました」
2人から冷ややかな刺を含む声を浴びせられ、セドナは弁解した。


