だが、言葉は出なかった。
テーブルの方からなぜか酒瓶が飛んできて、セドナの右頬に直撃したのだ。
セドナは成す術もなく、カウンターに崩れる。
「せっ、セドナ!?大丈夫かい!!?
こらあ!誰だい、酒瓶なんか投げたのは!?」
女将が真っ青になり、すぐに赤くなって狩猟組に詰め寄っていく。
少年は椅子に膝立ちをしてカウンターから乗り出し、持っていたタオルを濡らした。
それをセドナの頬に当ててやる。
「大丈夫ですか」
「…か、かろうじて……」
「うん、喋れるんなら大丈夫ですね。安心しました」
「るせえ……」
その後セドナは腫れがひくまでおとなしくカウンターに突っ伏し、大慌てで宿を飛び出した。
またイヤミを言われる、そんな焦りの言葉が聞こえた。
ちなみに狩猟組は女将にみっちり説教を受け、こそこそと部屋に戻った。


