極彩色のクオーレ






淡々と少年は自らの過去を語っていく。


聞いているセドナとティファニーのほうが、暗い表情になりつつある。


いつの間にか、窓の外にいた客はどこかへ行ってしまった。



「その後も感情は生まれていきました。


相手を殺すことに対する『悲しみ』、殺しあうことや戦争への『嫌悪』、自分の命がここで終わってしまうという『絶望』、仲間を失った『怒り』、そして敵にぶつける『殺意』……。


この6つが、ぼくが戦場で覚えた感情です」


「ロクなもんがねえな……」


「つまり、あそこにある感情はそれだけだということですよ」



苦々しく漏らしたセドナに、やはり冷静に少年が答えた。


ティファニーに紅茶を注いでもらい、そこでゆらゆら揺れる灯りを見つめる。



「逃げたくても逃げられませんでした、それだけ命令が強かったんです。


人間から与えられる信号に従って動いていくしかなかった。


……逃げ出したいと思うようになってかなり経った、悪天候のなか戦地へ向かっていたときでした。


雑兵人形は騎馬隊・歩兵隊の後ろで列をなし、ぼくはその最後尾で進んでいました。


そこへ雷が落ちてきたんです。


数体が一瞬で使い物にならなくなり、すぐ前の人形も打たれました。


その瞬間放電が起こり、ぼくの頭部にあった命令信号を受理する回路だけが破壊されました。


ほかに影響が出ずにここだけ壊れるのは奇跡です」



少年はバンダナの上から額をとん、と叩いた。