「あの、ティファニー」
少年は食べかけのサンドを籠に置き、ティファニーの肩を叩いた。
ティファニーがサンドをくわえながら顔を向ける。
「ぼく、君にゴーレムであること教えましたっけ?」
「ううん。そう思っただけだけど、もしかして違った?」
「いえ、違っているどころか大正解ですが。
……よく分かりましたね。
見えている人達も、こんなに早くゴーレムだと気づくことはありませんでしたよ」
「え、そうなの?」
指先についたソースを舐めて、ティファニーがきょとんとした。
何やら考えこむ姿勢になる。
「そうだったんだ……。
声だけ聞いていると、ゴーレムだって分かるんだけどな」
「そんなに違うんですか?」
「何がどう違うかはうまく説明できないんだけど……
修理屋くんの声、つくりものに聞こえるんだよね。
本当に微妙な差だけど、人工物って感じがする」
少年は自分の喉に触れた。
確かにここにあるのは『マスター』に造られた人工声帯である。
これも外見と同様、限りなく人間に近づけたもので、声からゴーレムだと知られたことは一度もない(セドナの時のように、合成樹脂膜が破けてバレることばかりだった。それ自体もほとんどなかったが)。
目が見えない分、ティファニーの聴覚はかなり鋭くなっているのだ。


