「はあっ!?どこがだよ!」
『かっこ悪い』
男子はその言葉にカッとなった様子だ。
無理やり少年の腕を払って、詰め寄ってくる。
「分かりませんか?」
だが、体格にかなり差がある。
高いところから冷え冷えとした目で見下ろされ、男子はうっと声を出してひるむ。
視線を投げただけで、他の男子も身体を震わせた。
(ああ、『嫌』だ)
強い人間になったつもりでさんざん弱い人間を困らせておいて、それを指摘された途端、弱い人間とまったく同じ顔つきになる。
なんて都合のいい。
彼らの姿が、重なる。
幻が見える、聞こえる。
黒々としたものが、身体の内側からあふれ出てくる。
塗込められていく。
少年の瞳から光が消え、男子たちが恐怖に青ざめた。
ぶつけてやろうか。
ありったけの力を込めて、この不愉快な感情をぶつけてしまいたい。
目の前の人間がぐちゃぐちゃになったって、壊れてしまったって、構うものか。
コナゴナニシテヤリタイ
少年は無表情のまま、腰に右手を伸ばして二本の手板を掴んだ。
手板を動かそうと、指に力が走る。


