少年が聞くことができたのはそこまでだった。
食事はいつのまにか談笑が消え失せ、かと思いきや、酔っぱらった成人たちが騒ぎ始めたのである。
意外にも先陣を切って騒ぐだろうと予想していたカーボはおとなしく、円卓に背を向けてちびちびと酒を飲んでいた。
時折、すすり泣く音が聞こえる。
彼は泣き上戸であった。
悪酔いする成人を押さえようとした未成年者も、他の成人たちに酒を飲まされ、あっという間に騒ぐ側へ。
もはや彼らを止められる者はいない。
早い段階にカウンターへ避難した少年は、野菜スティックをつまみながら彼らを眺めていた。
忙しく動いている宿の女将が、小皿に盛りつけた肉料理を出す。
「はい、どうぞ」
「え、いいんですか」
「サービスだよ。パクを直してくれたお礼さ」
女将は笑って、男たちのテーブルから空いた皿を回収するゴーレムを指差した。
酔っぱらいにぶつかられて首が取れてしまったのだが、少年が速攻で直したのである。


