「やーい、こっちだよ」
「早く拾えよ、おーにさーん」
「こっちだって」
「のろいなー、ばっかじゃねえの」
男子たちは少々引っかかる言葉を発している。
座りこむ誰かの周りを囲んで、はやし立てているのだ。
少年は広場を見回すが、ティファニーの姿は見当たらない。
まだ買い物が終わっていないのか。
そう思ってもう一度彼らに視点を置いたとき、輪の中心の人物がはっきり見えた。
散らばった荷物を慌てて拾っているのはティファニーだった。
長い髪に隠れて、表情は分からない。
男子たちはティファニーの邪魔をしては、楽しそうに笑っている。
アハハハハ。
活発的だけれど、不愉快さを感じさせる笑い声だった。
男子の一人がティファニーの手元を蹴った。
リンゴが勢いよく転がり、少年のつま先にぶつかって跳ね返る。
別の男子が杖を掴み、ティファニーから遠ざけた。
杖は街路樹に打ち付けられた。
あれがなければ、目が見えない彼女は歩くことすらままならないのに。


