「いつもこう歩いているんですか?」
「あ、うん……遅い、よね」
「お店に着くまでに陽が暮れちゃいますよ」
「いつも家に着く頃は夜になっているわ……」
諦めたようにティファニーが言う。
慣れっこなのだろうか。
少年はティファニーの右手から杖を取ると、自分の腕を掴ませた。
身体の距離が縮まって、ティファニーの口がぽかりと開く。
「ぼくが杖の代わりになりますから、ぼくにつかまっていてください。
その方がずっと早いですよ」
「わ……分かったわ」
「じゃあ、行きましょうか。
確か布屋に用があるんですよね?」
「うん。あと食べ物屋さんと針道具屋さんにも」
「それなら尚更、早く済ませないとですね」
少年は頷くと、再び大通りへ出た。
ティファニーを守るように、人ごみを進んでいく。
「……ありがとう、修理屋くん」
騒がしさに紛らせてそう呟いて、ティファニーは少年の腕に両手で掴まった。


