極彩色のクオーレ






到着した宿はこぢんまりとしていて、なかなか過ごしやすそうな雰囲気をしていた。


個室と家族部屋が半々で、広い風呂場と食堂もある。


少年は荷物を部屋(少年とカーボは個室で、他は家族部屋だ)に置くと、誘ってくれた若者とともに食堂へ向かった。


おいしそうな匂いがただよい、男たちの腹の虫を騒がせる。


食事をしながら、カーボや若者たちは少年に自分たちの村について教えてくれた。



彼らが暮らす村・ファイアは、ルースから山を二つ越えた森の中にある。


質のよい素材を求めた祖先が辿り着いた場所で、お世辞にも安全とは言えない場所らしい。


旅に慣れていない者や腕に覚えのない者は、途中でけものに襲われて食い殺されかねないのだ。


だから祖先は狩猟という役目を生み出して村を守り、仕留めた獣を余すところなく部品に加工する職を作ってそれを職人に売り、資金を得ていた。


けれども現在は職人個々ではなく、部品を取り扱う店にたくさん出荷している。


加工職人のほとんどが村を出てしまったため、獣を解体するか、生け捕りのまま、部品にすることなく売るのが主流となった。


数年前、加工職人を目指してルースに来た二人組がいて、カーボは彼らをとても気にしていて……