ティファニーから籠を受け取り、サフィラが道に出る。
民家に向いて深く息を吸い、口元に手にを当てた。
「奥さん方ー!クラウンの刺繍屋さんが品物を届けに来てくれましたよー!」
かなりの大声である。
サフィラの声は道の先までこだましていった。
するといくつかの家のドアや窓が開き、主婦たちが顔を出した。
子どもも一緒の家もある。
「あら、ティファニーちゃん」
「遠くからご苦労様ー」
「準備するから待っててちょうだいなー」
「ティファニーだ」
「ティファニー、あたしのお人形にもお洋服つくってー」
「ねえねえ、今日は遊べる?」
女と子どもが口々に叫ぶ。
途中からティファニー相手ではなく、家同士の話になるところもあった。
良く言えば活発な、悪く言えば姦しい光景に、少年はポカンとしてしまう。
「すごいですね……」
少年の口から零れた言葉に気づき、ティファニーは小さく笑った。


