「こんにちは、サフィラさん。
大丈夫ですよ、いつもの事ですし。
頼まれていた刺繍、できたので持ってきました」
「いつもわざわざありがとうね。
言ってくれたら家まで取りに行くのに」
「いえ、こういう機会がないと家から出ないんで。
お散歩代わりになってるんで、気にしないでください」
ティファニーは少年から籠を受け取る。
興味を持ったのか、ルビが少年を見上げた。
「お兄ちゃん、だれー?」
「ぼくは修理屋です」
「へえ、修理屋さん。ティファニーちゃんのお連れさんかい?」
「はい。ちょっと色々あって。
成り行きで、お買い物とか手伝ってもらうことになったんです」
申し訳なさそうにティファニーが肩をすくめた。
その背中をサフィラが叩く。
「そんな気にしなくていいんだよ。
苦しい時はお互い様。
そうよね、修理屋さん」
サフィラにウインクされたので、少年はコクリと頷いた。


