「えっ!?だ、大丈夫だよ。
私、今までもひとりでやって来れたし、そんな大変なことでもないから。
届けに行ったら、街に出たついでにお買い物をして戻ろうと思っているくらいで」
ティファニーが慌てた様子で両手を振った。
同時に首も左右にブンブン動かすので、長い髪がうねる。
目隠しの下の肌が赤らんでいるのは気のせいか否か。
少年は頭をがしがし掻いた。
「でも、ティファニー、見ていると少し危なさそ」
「あうっ!?」
慌てすぎたせいで、ティファニーが後ろに大きくよろめいた。
どうにか踏みとどまろうと一歩下がったが遅く、頭をドアにぶつける。
ゴヂッ。
何とも痛そうな音が鳴り、ティファニーはその場に倒れこんだ。
せっかく少年が集めた荷物が、杖とともに再び地面に散じてしまう。
「いったあ~……」
ティファニーは涙目になって頭を押さえる。
もう一度荷物を籠に放り込み、少年はティファニーに取っ手を握らせた。
「手伝いますよ」
「……お願い、します」
恥ずかしいところを見られたティファニーは、おとなしく少年の厚意を受け取ることにした。


