極彩色のクオーレ






「本当にごめんなさい。大きな声出してびっくりしちゃって……」


「えっと、ぼくはそっちじゃないです」



明後日の方に向かって話し出した少女に、少年はおずおずながらも冷静に指摘した。


少女が一瞬で耳まで赤くなったが、また軽く両頬を叩いて、何もない空間に手を伸ばした。



「すみません、どこにいるかよく分からなくて……。


あの、私の手を握って、教えてもらえませんか?」


「はい、分かりました」



少年は少女の正面に移動して、一言断ってから白い手に触れた。


思ったよりも少女の手は小さく、薄かった。


少女が少年の手を握り返し、空いている手で少年の腕を伝っていく。


こうやって話している相手がどこにいるのかを確認しているのだろう。


彼女にとって、手は目の代わりなのだ。


しばらく触り続けてから、少女が手を放してまたお辞儀した。



「ごめんなさい、べたべた触っちゃって……」


「いえ、お気になさらず。それよりも、怪我とかはしていませんか?」