極彩色のクオーレ






碧色のタイルの先は、さらに細くなった獣道が続いていた。


雑草などはそこを避けるように生えているが、かろうじて判別できるくらいごちゃごちゃしている。


だからなのか、この道にもタイルが用意されてあった。


少年の両足が載るくらいの大きさで、こちらは連続してではなく点在している。


間違った方へ進みやすい要所に置かれているようだ。



「これなら迷うこともありませんね」



タイルを順々に踏みながら、少年はどんどん先へ行く。


進路は複雑に曲がり、うねり、『目印』の必要性が身に染みてよく理解できる。


周りの木は、相変わらずガイヤばかりで、景色の変化に乏しい。


一歩間違えれば、自分の現在地すら把握できない森に飲み込まれてしまう。


やがて、ガイヤのカーテンに包まれた小さな家が見えてきた。


2、3人が暮らせるほどの大きさだろうか。


明るい赤色の屋根に、クリーム色の外壁、複数の小さな窓。


きれいに手入れをされた、こぢんまりとした庭まである。


街からだいぶ離れている森の中に、人が住んでいる家があるとは。


表情に変化はなかったが、少年は驚いた。