極彩色のクオーレ






「まったく、お前は素直なんだかひねくれてるんだか、どっちだよ」



セドナはぼさぼさになった頭を乱暴に直す。


まだほとんど直せていないが、少年はツッコまなかった。



「そんなんじゃないです。


どう言っても間違っている気がするんで……。


とにかく、俺はあの人を嫌いになってません。


これ以上は言いません」



悔しげに目つきを悪くするのは、表現力の乏しい自分自身に対してか、はたまた別の何かか。


セドナの表情を見て、またルーアンが笑った。



「相変わらず口下手だな。


ま、言いたいことは何となく分かるぞ。


わしも似た経験があるから」



セドナが視線を床に落として、もぞもぞと口を動かす。


そこまで傍聴に徹していた少年が尋ねた。



「嫌いではない、ということは好きなんですよね。


どうしてそんな意味の伝わりにくい回りくどい言い方をするんですか?」


「はあっ!?」


セドナの頓狂な声が工房に響いた。


いきなりの大声に、ルーアンが目を丸くする。


残響が収まってから、セドナは少年に詰め寄った。