「……なんか、すみません」
「うん?お前が謝ることではないぞ。
セドナは、ヒーラーが嫌いになったか?」
少し考えて、セドナは首を横に振った。
「嫌いになってはいませんよ。
されたことは許せないけど、でも、あの人の気持ちが全く分からないわけではないんです。
たくさん仕事したいとか、後輩に仕事が回るのはモヤモヤするとか……
けど、やっぱりムカつきます、もっと他にやり方あっただろうって」
腕を後ろに回し、セドナは唇を歪めて下を向いた。
嫌いではない、尊敬の気持ちがなくなったわけでもない。
ただ、妙に心が落ち着かないだけである。
それを言葉で表すのが難しくて、セドナはやや中途半端なところで口を閉じた。
どう言っても、正しく伝えられない感じがしたからだ。
ルーアンは小さく笑うと、腕を伸ばしてセドナの頭をなでた。
くせのある髪が、くしゃくしゃになって逆立つ。


