セドナは棒立ちで、兄弟子を見送った。
高く痩身の背中が小さく感じた。
その時初めて、ヒーラーに対して申し訳ない気持ちになった。
これではまるで、邪魔な存在を踏みにじってのし上がる悪党だ。
認めてもらいたかっただけで、ヒーラーをこのような目に遭わせるつもりは欠片もなかった。
ヒーラーの姿が小さく映ったのは、『作る』喜びや楽しみを取り上げられたからか。
弟弟子に越されたからか。
いずれにせよ……
「セドナのせいではありませんよ」
俯くセドナの肩に、少年は手を載せた。
彼の心を見透かしたかのように、言葉をかける。
「でも、俺……」
「あの人には足りない心があった。
それがたまたま、こういう形で露呈したに過ぎません。
良かったじゃないですか、あれっぽっちの被害で済んだんですから。
セドナも成長したし、ヒーラーさんもそのきっかけを得た。
君が気に負う必要はないですよ」


