セドナは頭を掻いた。
ルーアンはどこからどう見てもおじさんだ。
もしかしたら、おじいさんの方が合っているかもしれない。
身体を大切にして欲しいのに、どうしてこの年代の男は自分を過信してしまうのだろう。
内心呆れたが、それは一先ず置いておくことにした。
「……せせ、先生?
あの、一体いつからいらっしゃって……?」
セドナと少年の後ろから近づき、ヒーラーが恐る恐る尋ねた。
ルーアンは特に表情を変えずに答える。
「セドナがお前に勝負を持ちかけた辺りだよ。
いやあ、なかなか面白いものを見させてもらった。
わしがいない間に随分成長したな、セドナ」
「や、そんなことは……ありがとうございます」
師に褒められて、セドナは照れくさそうに首を竦めた。
正反対に、青くなっていくヒーラーの顔。
(赤くなったり青くなったり、笑ったり怒ったり焦ったり……本当に、表情の忙しい人ですね)
少年はそう思ったが口には出さなかった。
膝をさすり、ルーアンが立ち上がる。


