激昂したセドナの拳が、ぎち、と鳴る。
少年が押さえていなかったら、乱闘騒ぎになっていただろう。
「ワタシを殴るつもり!?
そんな恐ろしいことしたら、絶対に認めてあげないわよ!」
「権力振りかざして弱いやつをいじめんのが、そんなに楽しいかよ!
離せ、修理屋!
こいつを殴んねえと気が済まねえ!!」
拘束を解こうと暴れるセドナを、少年は押さえ込んだ。
冷静な声で言い聞かせる。
「ダメです、セドナ。ここは堪えてください。
どちらがいい悪い関係なく、あんたが殴ればそれだけであんたの立場が悪くなるんですよ」
「知るかよ、そんなの!」
「セドナ、お願いですから!」
服の背中を強く掴まれ、セドナは落ち着きを取り戻した。
力が抜けたセドナから離れ、少年は肩を優しく叩く。
「大丈夫ですよ。
この場にいて、君の見習い卒業を認めてくれるのは、彼だけではないのですから」
「え……?」


