「確かに、変よねえ。
お母サマへのプレゼントであんな瑕物を売りつけられたら、絶対に文句を言うはずなのに。
セドナちゃん、お客サマにどういうつもりなの?」
き、と上から睨まれ、セドナは思わず一歩下がってしまった。
我ながら情けない。
「いや、俺は修理屋にエレスさんからって聞いて……だから使わねえとって思っただけです」
「修理屋がぁ〜?アンタのこと?」
「まあ、はい」
「どういう意味よ」
少年はポケットから小袋を取り出した。
薄墨色の染織物で、上等なものだと分かる。
「あなたがエレスさんに無理矢理、依頼相手を変更させた後です」
「むっ、無理矢理ってアンタ!
言い方ってもんがあるでしょうが……っ」
「違いますか」
氷のような少年の視線に射抜かれ、ヒーラーは言葉を詰まらせた。
嘴を挟んでくる者が黙ったので、少年は続ける。
「エレスさんはあなたに注文した後、店を出ましたよね。
そしてぼくは、戻ってこないセドナの代わりに工房のゴミ捨てに行きました」
「お前、そんなことやらされてたのかよ……」


