暖簾を振り向き、もう一度少年を見て、高圧的な口調になる。
「あらっ、どうしてアンタが奥から……。
……ははぁん、そういうこと。
アンタもコイツとグルだったってワケ。
人が貶められてるところを陰でコソコソ見るなんて、アンタも趣味最悪ね」
背後の気配が剣呑なものになる。
少年はそれを片手で制しながら、冷静に言った。
「あなたの言う通りセドナの協力者ではありますが、あなたの思うような悪どいことなんてやっていませんよ。
ぼくはセドナが製作している間、彼が倒れないように見張っていただけですから」
「フン、そんな作り話、信じられるワケないでしょ。
ワタシはね、疑わしいものはと、く、に。
自分の目で見聞きしなくちゃ信じない主義なのよ。
確かな証拠もないのに、手放しに信用なんてできないわ。
そうよ、証拠よ、証拠はあんの?」
「やった証拠もやっていない証拠も、どちらもありません。
……ですが、どうしてエレスさんがセドナの首飾りを選んだか、その理由を示すことならできます」


