エレスを見送ったセドナは、接客スペースの隅の椅子にへたりこんだ。
ゴーグルを外して、軍手で額をぐいとこする。
「よかった……」
初めての客に喜んでもらえた。
その感激が胸に暖かく、大きくうねって押し寄せる。
涙が出そうになるのをどうにかこらえた。
それだけではない。
セドナはこれで、晴れて一人前となったのだ。
「ウソよ、こんな、ワタシが負けるだなんて……!」
残された首飾りを握り締め、ヒーラーが唇をへの字に曲げた。
見習いに負けたのだ、彼の自尊心は大きく傷つけられただろう。
そしてその苛立ちの捌け口は、当人であるセドナに向いた。
「アンタ、ワタシを嵌めたわね!?
そうでしょ!?
最初から分かっていて、こんな勝負を仕掛けたんでしょう!
よくもまあ、酷いことを考えられるものね」
セドナもさすがにむっとした。
とんだ言いがかりである。
「違います!
確かにあんたに仕事を取られて嫌だと思ったけど、そんな姑息なことはしません。
俺は正々堂々と戦いたくて……」
「どこが正々堂々よ!?」


