「え?」
セドナは自分の首の辺りを指さした。
「首は心臓に近いでしょう?
だからここには、強い力の流れがあるとされています。
飾りとして宝石を纏えば、力の流れを受けて、その宝石が持つはたらきが強くなるんです。
何かを象徴するものを飾っても同様です。
ヒーラーさん、クラック石の石言葉は知っていますか?」
問いかけられて、ヒーラーは腕組みした。
明らかに不愉快そうである。
「当然じゃない、ワタシを誰だと思ってるの。
石言葉は『優しさ』と『平和』。
そして、これはあまり知られていないけど『家族愛』という意味もあるのよ。
バカにしないでちょうだい、このくらい知っているわよ〜、見習いクン」
ヒーラーが得意そうに笑う。
プロとして、見習いとの知識の差を示せたからだろうか。
しかし、その笑顔はすぐに硬直することとなった。
「家族愛?」
最後にヒーラーが教えた石言葉を、エレスが繰り返した。


