「でも、クラック石でしょう?
確かに高級だけど、ワタシの首飾りに使ったアーシアストーンとは値打ちが違うわね。
この量で、セドナちゃんが使ったクラック石の五倍のお値段はするんだから」
セドナはにこ、と笑った。
笑っただけなのに、ヒーラーの顔が引きつる。
「俺には先輩のようにお金がないので、高い宝石を使うことができません。
だからその代わりに、高級な宝石に負けないくらいの細工をしようって考えています。
エレスさん、このプレートを見て何か気づきませんか?」
唇に指を当てて、エレスはじっくり首飾りを観察する。
「えっと、母の好きな兎と花……これはヒーラーさんの首飾りと同じモチーフで。
露桃も母が好きなものだわ。
……あ、もしかして、この小鳥と縹瓜って」
「エレスさん、好きなんですよね」
小鳥と縹瓜をセドナは交互に指差す。
エレスが納得した口吻になった。
「そっか、だから私の好みも聞いていたのね。
不思議だったの、母へのプレゼントなのに、どうして私の好みまで聞くんだろうって」
「お母さんへのプレゼントだからですよ」


