区画の広い通りを進む途中で、セドナの足が突如止まった。
真っ直ぐ前方を見つめている。
少年も一緒に立ち止まり、前を向いた。
ルーアン工房の入口に、一人の女性がいた。
服装も髪型も持ち物も異なるが、エレスだとすぐ分かる。
エレスはしばらく工房の看板を見上げていたが、意を決したように中に入った。
「……裏口から入ろう」
少年が辛うじて聞こえる低い声で言って、セドナが走り出す。
もちろんカバンはしっかり抱えていた。
頷いて、少年は後を追う。
作業スペースに入ると、ヒーラーの高い声が聞こえた。
セドナは持っていた紙袋をテーブルに投げる。
少年もそれに倣った。
カバンから恐る恐る青い箱を出し、セドナは長く息を吐く。
「大丈夫ですよ」
少年はぽん、と、微かに震えている小さな背中を叩いてやった。
セドナが視線を合わせ、にっと笑う。
「ああ。……戦ってくる」
「はい」
もう一度大きく息を吐き出して、セドナは接客スペースへ向かった。


