確かに、ヒーラーの頬はややこけていた。
目の下には隈があり、女性のように整えていた唇はがさついている。
どれだけ仕事に必死だったのか、彼の外見から伝わってきた。
(俺に面倒な作業を押し付ける前提で、依頼を引き受けるからだ)
セドナは心の中でそう毒づいた。
「今日ものんびり来て、何時だと思ってんの。
もうお昼まで時間がないのよ」
軽く頭を下げる。
「すみませんでした。あの、先輩」
「なによ」
「エレスさんって、もういらっしゃいましたか?」
「エレスさん?……ああ、アンタに依頼したけど、すぐにワタシに変更したお嬢サマね」
ヒーラーが、わざとなのか意地悪い言い回しをする。
セドナは一瞬眉をゆがませたが、気にしないようにした。
「まだいらっしゃってないわよ、お昼過ぎくらいかしらねえ。
でも、アンタには関係ないでしょ。
作業は午後からでいいから、早く買い出しに行ってちょうだい」
ヒーラーはセドナにメモを押し付け、さっさと作業スペースに引っ込んだ。
少年には目もくれない。
昼過ぎまでには戻ろうと、二人は街へ出た。


