少年は身体をずらして、セドナの正面にかがみこむ。
ソファに沈むセドナの鼻先に、人差し指を向けた。
「じゃあ、選んでください。
今から身体に無理を強要して作業をして、明日寝込んで一日潰すか、今日は潔く休んで、また明日から作業を頑張るか。
どちらがいいですか」
「間を取って、今から作業して明日も」
「セドナ?」
少年の声が低く、冷たく変化する。
今日もたくさん見たはずの無表情が、怖い。
セドナは顔をひきつらせ、おとなしく降参した。
「……明日に備えて、今日は寝ます」
「分かりました。
それなら、早くサンドを食べてお風呂に入って、休みましょう」
少年は立ち上がり、キッチンに向かう。
ソファに座り直して、セドナは頭を掻いた。
(まるで俺の母親だな)
そう思ったが口には出さない。
数年前に見た懐かしい姿が、眼裏をそっとなでた。
「あ、そうそう」
食事の準備の途中で、何か思い出した様子で少年が振り返った。
「何だよ」
「昨日言おうと思って、結局言いそびれたんですけど。
エレスさんから、君に伝言を預かっています」


