その場にいる誰もが呆気にとられた。
少年の手さばきはとてつもなく速かった。いや、速いなどというレベルではない。
彼の手がどう動いているのか、どのように部品を接合しているのか、どうやって破片の位置を見極めているのか、誰一人として目で追えない。
「な……んじゃ、こりゃ…」
呆然とカーボが呟いた。
そうしている間にも資材はみるみるうちに減っていき、無くなったころには、荷車の修理は完了していた。
この間、わずか一分足らず。
「終わりましたよ」
確かに少年が修理した荷車は、若者が描いたスケッチとそっくりになっていた。
唖然とする一同をよそに、少年は説明していく。
「とりあえず、走るうえでの要所は破片を中心に修復しました。
あとは枝を使いましたが、まあルースまでならもつでしょう」
少年は藍色に染まりつつある茜空を見上げ、カーボに言った。


