「じゃあ。どうしてお前は壊れていないんだ?」
「簡単な話ですよ。
ぼくの羅針盤が、一般的に知られている物とは違うからです」
さらりと言われたが理解できない。
困惑顔のセドナに、少年は説明を始めた。
「”心”を記憶した針は、生み出されるときに、覚えた感情によって異なる色に染まることはご存知ですか?」
「そりゃあ、俺も一端の職人だし。
専門外のことでも、基本的なことは知っているよ。
覚えた感情が正の方向に強く働くものならより明るい色に、負の方向に強く働くものならより暗い色に染まるんだろ」
セドナが不満そうにふくれた。
バカにされたと感じたのだろうか。
少年は小さく頷き、暗い色の針が多い羅針盤の中心軸をつついた。
「大正解です。それでは、円盤の色は?」
「え?」
セドナは腕を組んで考えを巡らす。
そういえば、針の色についてはよく耳にしたけれど、その盤については全く知らなかった。


