「ダメだ……樹脂が足りません。
ここで完全に直すのはできないですね」
破れ目は襟に重なっているが、これだけでは見つかってしまう。
少年はバンダナを降ろし、それで首ごと隠した。
「大丈夫なのか?」
「はい、必要な材料はすべてカバンにありますから。
セドナも、けっこう強く突き飛ばしちゃいましたが、平気ですか?」
「何ともないよ」
「そうですか、なら良かった」
少年は小さく頷くと、人差し指を立てて唇にあてた。
「このことは、他の人には内緒にしてください。
多くの人に知られるのも、いい気分ではありませんので」
「誰にも話さないよ」
セドナは即答した。
少年と視線がかち合う。
これまで何度も見てきた、薄荷色の瞳。
作り物とは思えない程、澄んだ色をしていた。
わずかに顎を引き、セドナはもぞりと口を動かす。
「……教えてくれて、ありがとな」
「え?」
「さーて、作業の続きしねえとな!
早く終わらせねえと、のろいって怒られちまう」


