30分後。
太陽は西の山に沈みかけ、空はさらに暗くなっていく。
「カーボさん、絵はできましたか」
破片を回収した麻袋を担ぎ、脇に枝を数本抱えた少年は、ランプの用意を指示するカーボに問いかけた。
「ああ、俺は絵がへたくそだからな、代わりに一番絵がましなやつに頼んだ」
カーボの後ろに立っていたのっぽの若者が、少年に紙を渡した。
前後左右、四方向から見た荷車のスケッチである。
「上手いですね」
「ありがとな。狩りはイマイチだけど、絵は得意なんだ」
「威張っていうんじゃねえ、バカ!」
照れる若者の脳天に、カーボのげんこつが落とされた。
少年はスケッチと壊れた荷車を交互に見つめる。
カーボたちが用意したランプを近くに置き、自身が持っていたランプは額のバンダナにくくりつけた。
「お、始めるのか」
「はい」
カーボの声に、ほかの狩人たちも集まってくる。
麻袋の口を開いて、少年は大きな破片を取り出した。
折ってきた枝と見比べる。
「どうした?」
「あ、いえ。破片を集めるだけ集めたのですが、やはり粉砕してしまったものは使えないので、ここの木を代用しようと思いまして。
あんまり材質が異なると、かえって破損の原因になってしまうのですが……これは大丈夫そうですね」
「んん……なんだかよく知らんが、よろしく頼むぞ」
「はーい」
ベルトのホルダーから工具を2つ取り出し、少年は肩をぐるぐる回した。
「そんじゃ、始めますか」


