極彩色のクオーレ







「人は誰モガ暗い心ヲ持ッテイるけど、ソレニ撃ち勝つダケノ、明るイ心・持ち合わセテイル。


明ルイ心も、誰の胸ノ中にモアル。



ルースで暮らして、スゴく大切ナコと・教エテもらエマシタ」



ニコの瞳がシャロアの赤茶けた双眸を捉える。


シャロアは彼を捨てた後ろめたさに一瞬だけ身を堅くした。


だが背けるべきではないと判断し、正面からその真っ直ぐな視線を受け止めた。


ゆっくり瞬きして、ニコは亀裂の走る羅針盤を見る。


造り変えられた当初から見違えるほど色彩に富んでいた。


鉄紺色の『悲しみ』、天鵞絨色の『嫌悪』、紫黒色の『絶望』、赤墨色の『怒り』、小鹿色の『恐怖』、そして常闇色の『殺意』。


それらは険しく、影のように暗くまとわりつこうとし、時折はっと息を呑むような冷たさを、刃のような鋭さを向けてくる。


破壊的な力をもつ感情たちだ。


でも、それらに壊されない強靭さを持つカラフルな感情の針たちもそこにあった。


その一本一本に、そこに宿る心を教えてくれた人々の姿が浮かび上がった。