戦場から離れたというのに、自分や誰かを守るためとはいえ殺生してしまった。
人間とは別の種族の血を流してしまった。
ひとつの命には変わりないのに。
他に方法があったのかもしれないのに。
「コウなっタノハ、天罰・なノデしょウ。
命ヲたくサン殺シタ人ハ処刑サレる・聞きマシタ。
ゴーレムでアルボくニ何の処刑モ下されナイノはオカシイ。
ダカラコうして、神様カラ罰を受けルコトニなりましタ。
……デも神様はぼクヲタだ見捨てるだケニはしなカた。
生マれ変ワッテ、人ガ持ツ心に触れ、そレヲ覚えて理解シテイく機会ヲ与エテクれまシタ」
戦場にいた人はみんな、悲しくて憐れだった。
暗い感情しか抱くことができなかった。
あのまま戦場で壊れていたら、人間のそういった姿しか知ることができずに終わっていただろう。
それらの感情が、どういう意味なのかも理解することができずに。
だからあの洗脳からの解放は、シャロアとの出会いは、修理屋として生まれ変わったことは、天が咎に落ちた自分へ送ってくれた救いなのだ。
人を正しく知らないまま消えるなと。
人がどのような生き物なのか、同じ姿になって見つめよと。
本当のところは分からないがニコにはそう思えた。
そうでなければ、ここまで動き続けられたはずがない。


