極彩色のクオーレ






「心を覚えた羅針盤に手を加えたその瞬間、その羅針盤が生んだ針はすべて消え去る。


心だけじゃない、それと連動する記憶も人格も全てだ。


つまり仮に羅針盤を直せたとしても、次に動き出す25番目は、おれたちの知っている25番目じゃなくなっちまうんだよ。


いずれにせよ、25番目は……消える」



「死ぬ」「助からない」といった言葉はシャロアは選ばなかった。


だが、言葉が異なっても意味は同じ。


それが分からないほどティファニーは愚かではなかった。



「そ、んな……」



ティファニーはぺたんと座り込んだ。


その右手がニコの頬に触れる。


気付いたニコはまるで錆びついたクランクのように首を動かしてティファニーを見上げた。



「どウ、したンデすか?モシ・かして、泣いてイル、ですカ?」



ティファニーは慌てて涙をぬぐい、ニコの上体を起こしてやった。


こすれて赤くなった顔でにっこり笑ってみせる。