「25番目、撃たれたところを見せてみろ」
遅れて駆け付けたシャロアがティファニーの隣に片膝をつき、ニコの服を破った。
ティファニーは祈るように胸の前で手を組んで見守る。
(――っ!!)
脇腹から左胸にかけての合成樹脂膜を裂いてめくった瞬間、シャロアの表情が強張った。
工具を持つ手がピタリと止まって動かない。
上からのぞき込んだセドナとラリマーも、顔を歪めて息を詰めた。
セイクリッドの凶弾はニコの左胸、羅針盤の側面にめり込んでいた。
そしてそこから、無数のヒビが瑠璃色の盤に走っている。
弾は取り出せないこともないが、そうしたら確実にヒビが深くなってしまう。
それはシャロアだけでなくセドナたちも十分に察せられた。
それほどまでに破損が酷いのだ。
「シャロア……?」
ティファニーが止まった人形職人を見た。
その横顔から、同じように黙しているセドナたちから、嫌な予感を察知する。
とても嫌な――かけがえのない大切な何かが、破壊されてしまう予感を。
いや、もしかしたら彼女は、このときすでに理解していたのかもしれない。
余りに厳しい現実を受け入れられないでいただけで。


