「ニコ!しっかりして!」
響いたティファニーの声に、3人は我に返った。
この美しい景色に見とれている場合ではない。
セドナたちは身体の痛むところをさすりながら声のもとへ急いだ。
「ニコ、ニコ!起きてよ、ねぇニコ!」
ティファニーが仰向けに倒れるニコを揺すり、名前を繰り返し呼んでいる。
すると何度目かでようやく、ニコがうっすらと瞼を持ち上げた。
薄荷色の瞳が空をさまよい、主人の顔を捉える。
「……てぃ・フぁニー」
彼らの間に流れる空気に、ピシッと亀裂が入ったような音が聞こえた。
もしかしたら、誰かの気のせいかもしれない。
ニコの発した言葉は、セイクリッドに撃たれる前とは明らかに違っていた。
レムリアンよりもひどく片言で、雑音が激しく鳴っている。
肉声からとてもかけ離れた、まさしく機械の声だった。
一気に絶望感に呑み込まれる。


