極彩色のクオーレ






本物の鳥と同じ細い足がついた直後、身体が大きく揺らいだ。


大きな反動が起こり、乗っていた者はハンドルを握るシャロアを除いて全員投げ出された。


幸い遠くまで飛んで行った者も地面にたたきつけられた者もいなかったが、一歩間違えれば大事故である。

そして鉄鳥は、無理な飛行が負担となり至る所から灰色の煙を吐き出していた。


すぐにシャロアが分解したので大爆発は免れた。



「っぶねえ!おいシャロア、少しは加減しろよ、危うく死ぬところだったぞ!?」



真っ先に起き上がったセドナが、ぶつけた背中をさすってシャロアに文句を言った。


対するシャロアは飄々と答える。



「わりーわりー、パワーの匙加減がどうにも分からなくてよ」


「何言ってんだよ、お前がつくった鳥だろうが!」


「いやー、即席だったからさ、さすがのおれにも難しかったわ」


「お前なぁ!」



苛立ちを発散しようとピンに手を伸ばしかけて、セドナは足元に咲く花に気付いた。


水晶のような花弁に、水底のような幻想的な影。


蜻蛉花だった。


しかも一輪二輪の数ではない。


この広い丘を埋め尽くすように、膨大な数の蜻蛉花が開いていたのだ。



「なっ……」


「ウソだろ、蜻蛉花の開花時期は、とっくに終わったはずじゃ……」



あまりの光景に、セドナだけでなくシャロアとラリマーも唖然とした。


おとぎ話や伝承に出てきそうな幻想的な景色に心を奪われかける。