極彩色のクオーレ






周りの景色が一気に駆け抜けていき、視界を占める空の割合がどんどん増していく。


正面からの風圧に目を開くことさえ困難だ。


セドナは力をふりしぼって片膝をついた姿勢になり、縁に背中をぴったりくっつけてティファニーを支えた。


ティファニーはセドナの腕に掴まりながら、もう一方の手で振り乱れる長い髪を押さえる。


ラリマーも歯を食いしばって、自分と動かないニコが落ちないようにしていた。


上昇が終わり、いくらか風圧が弱まる。


改めて見てみると、かなり高いところを飛行しているようだ。


そしてもうすでにエンハンスとトリロニーの境目に差し掛かっている。



「お前ら全員いるかー?落ちてないなー?」



シャロアが風圧とエンジン音に負けないくらいの声量で、でもどこか間延びした調子で尋ねる。



「いるに決まってるだろ!」


「落ちてたまるか!」



セドナとラリマーは噛みついた。


もっと言ってやりたかったし殴ってもやりたかった。


けれどそのせいでバランスを崩して落ちてはいけないので我慢する。