極彩色のクオーレ






「きゃあーっ!」



どこかから甲高い耳障りな悲鳴がした。


それがスイッチになって世界が元通りに戻った。


セイクリッドが暗い水のような声を発する。



「そこにいるのは化け物だ、僕の愛する国を脅かした禍々しい存在だ。


そうやってか弱い姿で騙しているだけなのに、どうしてそれに気づかない。


ルースが手に入らないのなら、あの化け物を始末して『彩霞ノ民』の血を絶やすまでだ」



銃に弾が装填され、周囲に居た人々が悲鳴を口にしながら後ずさる。


照準を合わされているティファニーは動かなかった。


演説台に座り込んだまま、倒れ伏しているニコから目を離せないでいるのだ。



「ニ、コ……?」



恐る恐る右手をニコの背中に伸ばす。


自分が今どういう状況に置かれているかまったく分かっていない様子だ。


セイクリッドの指が引き金にかかる。



「セイクリッド!」



怒鳴りながら、セドナは飾りづくりの作業で使う小刀を投げた。


偶然にもその細い切っ先が銃口へ深く突き刺さり、銃をただの鉄くずへ変える。


一拍おいて、彼の武器がなくなったと気づいた若い猟師が背後からとびかかった。


それに特に力の強そうな男たちが続き、先ほどよりも大きな暴動が起こる。


銃を握っている者まで出てきた。