極彩色のクオーレ






――バァンッッ!!



ペイント弾とは比べものにならない、耳をつんざく強烈な音が鳴る。


それがきっかけで、何の音も聞こえなくなる。


見えているのに音が脳に届かない。


今までとは逆だ。


何故か、銃弾が自分に迫ってくるのを視認していた。


回転しながら空気中を突き進んでくる。


空気との摩擦で生じる小さな臙脂色の火花まで見える。


そのときだった。


いきなり左腕を掴まれ、強い力で後方へ引っ張られた。


身体がそちらへ斜めに倒れる。


その中、コマ送りになった世界で 、ティファニーははっきりと見た。


目の前にニコがいる。


自分の左腕から手が離れていく。


何かに躓いた様子でバランスを崩しかけた。


そして勢いを弱めていなかった鉛弾が――ニコの左脇腹に接触し、沈んだ。



パキン。



何かが壊れる音がした。


貫かれた衝撃でニコの身体がわずかに跳ねる。


銃弾が沈んだ部分から、彼を形成している細かな部品がぱらぱらと煙のように飛び出していく。


ニコの唇が震えた。


何か言ったのかもしれないがティファニーには聞こえない。


そうしてニコは、受けた力に抵抗しないまま、ゆっくりと演説台に倒れた。


力なく振り上がった右手がニコの腹部に落ちる。


一つ一つの動きが、細々のすべてが、ティファニーの網膜に烙印のように焼き付いた。


目をそらすことができない。