極彩色のクオーレ






「マスター」


「うん?」


「……マスターは、どうしてぼくを捨て」




群衆のざわめきが変わった。


それは色で例えるならば赤から青へ変化したくらい明らかなものだった。


怒りでなく恐怖が一瞬で伝染していく。


ニコは群衆を振り返った。


時間がやけにゆっくり流れているように目に映る。


人々が身を引く。


その中央にセイクリッドが立っている。


銃を握っている手を真っ直ぐに演説台の方へ伸ばしている。





ティファニーもまた、空気の変化を嗅ぎとって振り向いた。


逃げる人々が見える。


その中核にセイクリッドがいる。


さっきまで持っていた物よりも殺傷能力が高いと一目見て分かる拳銃を握っている。


その銃口が、自分に向けられていた。


一瞬、まばたきするほどの時間が遅く感じられる。


目が合ってセイクリッドの顔に恐怖が走り、すぐに怒りの表情にかき消された。


引き金が引かれる。