「……じゃあ、シャロアさん以外は怖いといけないから見ないでね」
「シャロアでいいよ、こいつらのことはいいから早く早く」
「おい、何だよその言い方は」
ギベオンがシャロアの背中を蹴って横を向く。
セドナたちもそれぞれ下を向いたり目を閉じたり覆ったりして、ティファニーを見ないようにした。
しばらく時間を挟んでから、ティファニーはそうっと瞼を持ち上げる。
すると、目の前にシャロアの顔があった。
膝に手を当ててティファニーと目線の位置を合わせている。
思ったよりやや幼げな顔だちだ。
彼の眼鏡越しに赤茶けた瞳が見えたが、じっと見つめてもその瞳は恐怖に震えなかった。
それどころか、むしろ嬉しそうな色を浮かべている。
「……え?」
予想外の反応にティファニーは混乱した。
シャロアが飛び跳ねて指をパチンと鳴らす。
「おおおっ、マジだ!すっげえ、いくら見てもちっとも怖くねえ。
あのじーさんの話、ガセじゃなかったんだな!」
「はあっ!?」
すぐに反応したラリマーが、ティファニーに背中を向けつつシャロアの服を掴む。
「おいシャロア、今ちっとも怖くねえって言ったか?
めっちゃ怖えの聞き間違いか?」
「どんな耳してるんだよ、聞き間違いじゃねえよ。
おれ、あの子の『無色の瞳』10秒くらいガン見したけど怖いとは思わなかったぜ」
シャロアはふふんと胸を張り、ティファニーに笑いかけた。
確かに怖がっている様子もなければそれが演技でないということはすぐ分かる。


