極彩色のクオーレ






「そんな白々しい嘘、通用するわけがないだろう」


「オレの言ってることの真偽は今はどっちでもいいんだよ。


大事なのはこの紙に書いてあった内容さ。


『セイクリッド第2王子、薬の件了解しました。あとの手筈はお任せください。ニックス』ってさ」


「ニックス?」



すっかり困惑しきっている群衆から名前を反芻する声が聞こえた。


視線が集まり、発したらしい農夫が慌てて口をおさえる。


ラリマーがすぐにその農夫に聞き返した。



「うん?おっさん、心当たりあるのか?」


「あ、あるも何もニックスは毎年ルースに堆肥を届けに来てくれるスフェーンの土壌屋だ。


頭はそんなによくねえけど、でもいいやつだぜ。


俺だけじゃねえよ、農場や畑を持ってる他のやつだってニックスから買ってるんだ。


ルースでは肥料や堆肥は作れないからな」



なあ、と農夫が後ろにいる農業仲間に問いかける。


彼らは互いの顔を見合わせつつも頷いた。


ラリマーは小瓶を腰のポーチにしまう。



「そっか、みんな知ってるならオレが説明する必要もないな。


セイクリッド、あんたはニックスにルースへ運ぶ予定の堆肥に酸化ミネラルゴブリン砒鉱を混ぜるように依頼したんだ。


多分、多額の報酬を積み上げてな。


前金を払って仕事を終えたら残りを支払う話なら、毒を混ぜるわけでもねえし、大体のやつが引き受けるだろうよ」


「酸化ミネラルゴブリン砒鉱を混ぜ……え、まさか」