極彩色のクオーレ






セイクリッドが指を突きつける。


今の彼の顔からは、あの優しげな雰囲気が欠片も残っていなかった。


厳しい声音に住人たちが畏怖を感じる。


けれども当のラリマーは平然とした様子を崩さなかった。


羊皮紙をひらひらと揺らす。



「だーかーらー忍び込んではいないんだって。


まあ疑いたいなら疑えばいいし訴えてもいいけど、それはすなわちこの証書があんたの部屋にあったってことになるけど?」


「……僕が言っているのは、その偽物の証書に使った羊皮紙を僕の部屋から盗み出したってことだ。


その証書のことはまったく身に覚えがないよ」


「ふうん、ここにあんたの直筆サインがあるんだけど、まあいいよ。


他にも証拠はあるからな」


「証拠?」



ラリマーは羊皮紙を束ねてマントの下にしまい、別の何かを取り出した。


今度はラリマーの手のひらほどの小さな空き瓶二つである。


ラベルには何か細かい字で記されてあった。


セイクリッドが一瞬だけまた顔を険しくさせたが、平気な様子を取り繕って聞く。



「その瓶が証拠なのか?」


「ああ、今年ルースのどの農家も大不作だった原因がこれだよ。


酸化ミネラルジルゴブリン砒鉱、子どもの小遣いでもけっこうな数買える無機化合物だ。


大陸の北側の土になら大量に含まれている」