「オレは最初はあんまり疑問に思わなかったよ。
だけど、お前がティファニーたちと小物屋に出かけたとき、馬が小物屋に突っ込みそうになっただろ」
「ああ、あの時だよね、忘れてないよ。
その時に偶然ティファニーの『無色の瞳』を見て彼女が」
「ティファニーのことは今どうでもいいんだよ。
オレが言いたいのは、その時に馬がお前を見ても何にも反応しなかったってことだ。
生け捕りにしたハウンドが逃げ出して街の連中に襲い掛かりそうになってお前が仕留めるとき、ハウンドはひどくビビってただろ?
それはこの場にいるやつみんな見ていたから間違いねえよな」
ラリマーが呼びかけると、群衆からは肯定を示すざわめきが返ってきた。
満足して頷いてラリマーは続ける。
「あの大型獣はお前を見るだけで縮み上がって服従のポーズまでとっていたのに、あの馬は平然としていた。
セドナが飛び乗って手綱を握らなかったら突っ込んでいただろうよ。
もっと言えば、あんたが乗っている馬も怯えないでおとなしくしてるよな、今みたいに」
視線がすっとセイクリッドの斜め後方にいる馬に集まる。
確かに馬は落ち着いた様子でそこに居た。
「セイクリッドを見てビビるのは大型獣だけで小動物や人間には無害な動物は平気?それっておかしな話だよな」
それはラリマーがヨリジェへ情報収集に行く前にニコたちに打ち明けた疑問のことだった。
改めて説明し直されると、確かにおかしいことだとニコは感じる。
シャロアはラリマーに場を譲り、鉄鳥によりかかって楽しそうに見物に徹していた。


