セドナが眉をひそめると、ラリマーの上に誰かが着地した。
踏みつぶされたラリマーはぐふっと息を漏らして演説台に倒れる。
背はかなり高く細く、膝丈までの黒のロングコートを身に纏っている。
その下に履いているズボンも黒く、まるで枝のなくなった暗守(あんじゅ)マツのような立ち姿だとセドナは感じた。
背中にはなぜか大きな鋏を背負っており、腰の太いベルトのホルスターに刃の部分をしまっている。
目深に被っているキャスケットとメガネのせいで、顔だちは分からないが男だと何となく察した。
(誰だ……?)
少なくともルースの人間ではないとは分かる。
そしてその人物は立ち上がると、ようやくラリマーに気づいて彼の上から降りた。
「ああ、悪いラリマー」
「嘘つけ、ちっとも悪いって思ってねえだろが。
オレの上に降りたのはわざとだろ、そういうところ何も変わってねえのな。
安定すぎて怒る気も起きねえよ、シャロア」


