「獣一匹満足に黙らせられねぇのか!


てめぇら、それでも生物資材の村・ファイアの狩猟組かバカ野郎!!」


「かっ頭、スダックは……」


「てめぇよりずっと有能な坊主が捕まえてくれたよ!


坊主、おまえさんからも……」




「おやまあ、軸がバッキリ。


これではどう頑張っても走れませんねぇ」



怒り心頭なカーボと男たち、やかましい獣の声をよそに、少年はリュックから取り出したランプを当てて破損部を観察していた。


勝手に中に入る少年の首根っこを掴まえようとした部下を殴り、カーボは覗きこんで尋ねる。



「どうだ、坊主。直せそうか?」


「ちょっと待ってくださーい」




無傷の面や床をペシペシと叩いて、少年はしばし考える。


それからパチンと指を鳴らし、荷車から出た。



「カーボさん、この荷車の元の絵を描いてもらってもいいですか?


あと、修理のときはランプも貸してください。


ぼくのだけでは明るさが足りないんで」


「え?あ、ああ。構わねぇが」


「じゃあ、ぼくが破片を集める間に書いちゃってくださいね。


あ、この麻袋、少しお借りしますよ~」



袋を担いで、少年はスタスタと破片が散らばっているところへ歩く。


ギャアギャアわめく獣の檻の前を通ったのに、ちらともうるさそうな素振りを見せなかった。



「……あいつ、うるさくねぇのか?」


「頭、なんすか、あのガキは」



絵を描くことを話しかけてきた部下に押し付け、数人を破片集めに追いやり、カーボは獣の状態を確かめに向かった。